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☆- 愚痴・疑問・呟き -☆

>> 2005/04

[ 年に1回ぐらいはこういうミスがあるよなー。 ]

書くと言った以上、がんばって書きます。
まあ、日経新聞当たりに解説がでる気もしますが。
長いですが、がんばって読んで下さい。


状況を簡単に説明すると、ある新規公開株の公開初日、
某証券会社が60万円で1株売りとするべきところを、
1円で60万株の売り注文を出してしまった、と見られて
います。

株価なんてものは、需給バランスできまりますから、
株価は大暴落、1円にはならなかったものの、あっさり
ストップ安になってしまいました。
(普通であれば、値幅制限を越えた注文はだせないの
ですが、公開初日なので関係なし。)

しかし、これは本当の需給バランスではありません。
だれかがミスしたと気付いた人が、大量の買い注文を
入れたのか、ミスした本人or会社がすぐに買い戻しの
注文をいれたのかわかりませんが、今度は一転して
株価は大暴騰、ストップ高になってしまいました。


さて、ミス注文を出した某證券会社の損失はいったい
幾らになるでしょう? 市場では、一時、1000億円の
損失になるとの情報が流れました。(この損失を補う
ため、含み益のある株が売りに出されるという見方も
広がり、今日の株価は全面安になるほどでした。)

最善のケース、つまり一番マシな場合を考えます。
ベストはミス注文が約定する前に、注文を取りやめた
場合です。しかし、ストップ安の価格で、かなりの
出来高がありますので、この可能性はまずない。
起こりえる最善は、ストップ安で約定した出来高の
うち、半分がミス注文で、残り半分がミスに気付いた
後の買い戻しの場合です。これなら損失はほぼゼロ。

しかしまあ、こんなことはありえません。
買い戻すには、だれかが新たに売ってくれないと
いけないからです。発行済株式の何十倍もの売りは、
「だれかがミスしない限り」出るわけがないのです。

唯一可能なのは、ミスの売り注文を買った人が、即、
売る場合ですが、まあ、後で説明しますが、こんな
美味しい株を買値と同額で売るはずがありません。

そうなりますと、ありそうなマシなシナリオとしては、
ミスの売り注文は半分以上、ストップ安で約定したが、
すぐに買い戻しのための買い注文を出し、ストップ高に
なりつつも、売った株数の分は買い戻せたといった
ところでしょうか。

今日の出来高が約70万株ですので、半分がストップ安
(57万円)での売り、残り半分が買い戻しとして、
平均72万円ぐらいで買い戻したとすると・・・、

差額15万円×35万株=525億円

イタイですね・・。これでマシな場合です。


実際の可能性としては、最悪のケースの可能性が高いと
思います。実は、損失が確定している場合は、かなり
マシな状態と言えます。
逆に言えば、それ以外の場合、つまり損失が確定して
いない場合、損失額は青天井となり、これが最悪の
ケースとなります。

今日のチャートを見ますと(ヤフーで無料で見られます)、
ストップ安で50万株ほど約定しており、これの売り方は
まず間違いなくミス注文をだした某証券会社のはず。
すぐにミスに気付いて、買い戻しをしたとしても、今日の
出来高は約70万株ですから、最大で20万株ぐらいしか
買い戻せていないわけです。
つまり、差し引き、約30万株の売りポジションです。

普通、株を「売り」から始める場合、株を持っている人
から借りてきて、それを売ります。あとは、期限内に
市場で株を買い戻し、元の持ち主に返します。
売った時より、買い戻した時の株価が下がっていれば、
差額が利益に、逆に上がっていれば損失になります。

ところが、今回のケースでは、借りている訳ではあり
ませんし、そんなとんでもない株数はそもそも世の中に
ありません。
結果、どうなるのかというと、4営業日後の受け渡し期日
までに、なんとしても株を用意しないといけません。
数万株しかない会社の株を、何十万株と用意しないと
いけないわけです。

当然ですが、無理。出来るわけがない。

唯一それだけの株を持っているのは(正確にいうと、
それだけの株数を売る権利を持っているのは)、
4営業日後に、株を渡すべき相手、つまり、ミス発注
した売り注文を受けた人達だけです。

株を渡すべき相手しか、売ってくれる相手はいない。
こんな状況で、あなた、この株をストップ安で買うのに
成功していたら、売ってあげますか?

ミス注文を出した某証券会社は、売ってくれる人は
いないとわかっていても、買い注文をださない訳には
いきません。
その結果、だれも売らないのに、大量の買い注文が
出続けますから、毎日ストップ高。

株の受け渡しの期日になっても、某証券会社は株を用意
できていませんから、約束を破ったペナルティも発生
してくるかもしれません。
(まあ、高値となった株価で、再度、反対売買を行い
ポジションを解消することで落ち着くのではないかと
思いますが・・。)

50万円以上、100万円未満で値幅制限は10万円らしいので、
受渡日の株価を100万円とすると、さっきの例では、

当日に買い戻せなかった30万株×差額43万円=1290億円

イタイどころじゃないですね。
これに当日買い戻せた20万株分の損失もあるはずですし、
そもそも、約束を破っているわけですから、これ以上の
ペナルティを求められるかもしれません。

某証券会社、大丈夫かな〜。



で、最後に。誰が儲けたのか?

うまくストップ安で買った個人投資家もいるでしょう。
しかし、今日一日の出来高は70万株、約5000億円もある上、
その大半が、ストップ安になってから短時間の間に約定
しています。

普通の機関投資家は、そんなにはやく動けないですから、
可能性があるのは、ヘッジファンドか証券会社の自己売買
部門といったところでしょう。ヘッジファンドにしたって
証券会社をとおして注文をだしますから、まあ、反応の
早さからして、後者が本命かと思います。


そうなると・・、同業のミス、どうするんでしょうねえ。
倫理無視で取りにいくのか、はたまた助けにいくのか、
今後の動きに注目したいです。


2005/12/09(Fri) 晴れ

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[ 管理者:あおっき 著作:じゃわ 画像:牛飼い ]